2014/02/27

深夜便258 ヴェルディ 「ドン・カルロ」 東京二期会 (2/22) 2014

過日(2月22日)東京文化会館にて、東京二期会オペラ劇場によるヴェルディの「ドン・カルロ」を観てきました。ガブリエーレ・フェッロ指揮東京都交響楽団他による演奏です。

フィリッポ二世、伊藤純の慈愛が滲み出てくる悲観と、ジョン・ハオのストレートな威圧感は、とても対照的であり、ともに印象に残りました。

題名役は、山本耕平の新鮮さにドン・カルロらしさを見出し、福井敬の全力投球にはただ圧倒されました。

エリザベッタの安藤赴美子は、インフルエンザにより23日の公演を降板したとのことで、20日に観ることができたことは幸いでした。横山恵子が連投したとのこと、きっと別組でも素晴らしかったことでしょう。

ダブルキャストが組まれていたなかで、両日出演となった6人の代議士、素敵なハーモニーを聞かせてくれました。

ガブリエーレ・フェッロは、コンサート指揮者というより、オペラ指揮者というイメージがありますが、都響から引き出していたサウンドは、かなりシンフォニックなものとなっていました。遅いと感じさせないゆったりしたテンポを採ることが多く見受けられ、横の線よりも縦の線が強調されているように思えました。
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2014/02/23

深夜便257 ヴェルディ 「ドン・カルロ」 東京二期会 (2/20) 2014

過日(2月20日)東京文化会館にて、東京二期会オペラ劇場によるヴェルディの「ドン・カルロ」を観てきました。ガブリエーレ・フェッロ指揮東京都交響楽団他による演奏です。

イタリア語5幕版と明記されており、所謂モデナ版を基にした演奏ではありましたが、カットはありました。フォンテンブローの森でドン・カルロとエリザベッタが出会う際のことですが、焚き火の会話が欠落していました。そのため、エリザベッタが姿絵を見てドン・カルロと気づくまでの、"スペインからの使者の一人"に対する胸の高鳴りが唐突にも感じられました。

デイヴィッド・マクヴィカーによる演出は、ほぼテキスト通りと言えると思いますが、ニコラス・ハイトナーによるもの(コヴェントガーデン、MET)と同様に、カルロは最後には衛兵に刺されて逝くという具体的なものでした。ただし、マクヴィカーは、その亡骸に対してフィリッポが頭を撫でて悲痛を表すことを忘れていませんでした。

また、フィリッポとエリザベッタには乳飲み児がいるという設定がありました。この嬰児を乳母らしき女性が抱え、何度か舞台に立っていました。これは、第1幕と第2幕の間に、それなりの月日が空いていることを意味しますから、巧みな演出と思えました。

演奏、歌唱に関することは、後日、2月22日の公演のエントリーにて書き留めます。

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2014/02/13

深夜便256 ワーグナー 「ジークフリート」 フルトヴェングラー 1953

今日はワーグナーがヴェネツィアに客死して131年となり、「オペラ深夜便」が5周年、6年目に入ります。2011年から今年に至るまでの3年間は、年間に50作を鑑賞するという目標(欲求?)を満たしています。これからも、このペースを維持できることを願っています。今後も宜しくお願いいたします。

そこで、今夜はワーグナーの「ジークフリート」全曲を聞きました。ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮イタリア放送交響楽団他による演奏、1953年の録音(東芝EMI盤)です。

実況録音とはいえ、演奏会形式であるため、オーケストラも歌手陣も明瞭に録音されています。リマスタリングも良いのでしょう。私は、「ニーベルングの指環」を、ヒストリカルな音質で鑑賞することをいくぶん苦手としていますが、この録音では問題になりません。

この実況録音は、1日1幕ずつ収録されているためか、オーケストラも歌手陣も余裕が感じられます。フルトヴェングラーの滋味深い指揮ぶりもあわせ、この作品のリファレンスの一つとなりえています。演奏家(指揮者、歌手陣、オーケストラ、あるいは演出家)の存在よりも、作品そのものの存在を知らしめる「ジークフリート」、この録音以外になかなか思いあたりません。




私が鑑賞した音盤は左側だと思うのですが、ジャケット写真の掲載がなく寂しいので(苦笑)、右も掲載しました。ケースの配色は異なりますが、使用されている絵は同じです。

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2014/02/02

深夜便255 ロッシーニ 「オリィ伯爵」 藤原歌劇団 2014

一昨日(1月31日金曜日)東京文化会館にて、ロッシーニの「オリィ伯爵」を観てきました。藤原歌劇団による公演です。

藤原歌劇団は創立80周年を迎え、今年1月から来年1月まで魅力的な公演を組んでいますが、この「オリィ伯爵」はその開幕公演でした。(6月に記念コンサートと「蝶々夫人」、11月に「ラ・ボエーム」、そして来年1月が「ファルスタッフ」となります。)

ロッシーニのオペラの多くは、なかなか実演に接することができませんので、藤原歌劇団が積極的に取り組んでいることは、とても歓迎しています。今回の「オリィ伯爵」もその期待に充分に応えてくれました。

舞台は簡素でしたが、その分より歌唱を愉しむことができました。その立役者は何と言ってもアントニーノ・シラグーザに尽きるでしょう。フランス語による原語演奏でしたが、「分かった、分かった」、「ちょっと待って」といった日本語によるサービス精神も魅力的でした。

昨年のハイライト公演も愉しめましたが、舞台を伴っての全曲演奏、今回もあっという間に時が経ってしまいました。

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